ミッフィーちゃんの別名
キャラクターとして世界中の人々に愛されている「ミッフィーちゃん」。実は、別名「うさこちゃん」と呼ばれているのをご存じでしようか?
「うさこちゃん」が日本で初めて紹介されたのが1964年のこと。そのときの作品が「ちいさなうさこちゃん」でした。
今日は、ミッフィーちゃん日本初上陸となった物語、「ちいさなうさこちゃん」をご紹介したいと思います。
ちいさなうさこちゃん
「ちいさなうさこちゃん」は、「うさこちゃん」こと「ミッフィーちゃん」が生まれるときの物語。
冒頭から石井桃子さんの優しい翻訳がスッと胸の中に入ってきます。
おおきな にわの まんなかに
かわいい いえが ありました
ふわふわさんに ふわおくさん
2ひきの うさぎが すんでます。
まるで、初めから日本語で書かれたような気持ちの良いリズムですよね。
しかし、石井桃子さんはオランダ語で書かれたこの「ちいさなうさこちゃん」の翻訳を依頼されたとき、「私にはオランダ語の翻訳はできない」と最初は断ったそうです。
石井さんは、一度は断ったものの、ディックブルーナさんが描く、うさこちゃんの絵に惹かれ、翻訳することを決意します。
そして、オランダ大使館の職員に原文をオランダ語で読んでもらい、ディックブルーナさんの世界観を日本語で表現したのです。
ミッフィーちゃんは原文では「nijntje=ナインチェ」ですが、石井桃子さんは「うさこちゃん」と表現しています。
オランダ語の「リズム」を壊さないようにたくさんの言葉から選んだのでしょう。
さて、「うさこちゃんシリーズ」を始めとするミッフィーちゃんの絵はとてもシンプル。同じように石井桃子さんの翻訳も、とてもシンプルです。
単にシンプルというよりは、要らないものをすべて削ぎ落として一番大切な物だけを残したような感じがします。
そして、余計な装飾がない言葉だからこそ、読者がいろいろなことを想像できるのだと思うのです。
さて、ある晩のこと「ふわおくさん」のもとに天使がやってきて
「よくおききなさい あなたに じき あかちゃんが できますよ」
と言って、飛んでいきます。
そして、「うさこちゃん」が誕生します。
このエピソードもシンプルだけれど、「生命誕生」についての「神秘」だったり、「感激」を上手く表現していますよね。
「ちいさなうさこちゃん」のなかには、「愛」や「奇跡」「日常」「友情」「ていねいな暮らし」など実にさまざまなものが詰まっていると思うのです。
まとめ
作者のディックブルーナさんは、今年の2月に亡くなっています。
しかし、この「うさこちゃんシリーズ」は今もなお、たくさんの人に愛されている作品です。
オランダ語は、まったく馴染のない言語ですが、「うさこちゃんシリーズ」は、オランダ語のリズムを大切に作られた作品だということを思いながら読むと、なんだか楽しいですよね。
「うさこちゃんシリーズ」は子どもの心を育むだけでなく、大人の私たちにも優しい気持ちを思い出させてくれる作品です。
うっとおしい雨の季節。「うさこちゃんシリーズ」を読んで過ごしませんか?